ANA SFC修行(2023年)

昨年2023年に、ANAの上級会員資格を取るために必要以上に旅客機に乗る行為、いわゆる修行をした。よく「マイル修行」と言われることもあるが、上級会員獲得のための基準はマイルではないため、おそらくそれは間違い。マイルとは別の基準で積算されるプレミアムポイント(PP)が基準となっている。

ANAの上級会員制度はざっくり下から「ブロンズ」「プラチナ」「ダイヤモンド」の3段階あり、「プラチナ」以上の状態でのみ申し込める「スーパーフライヤーズカード(略してSFC)」というクレジットカードを作ると、そのクレジットカードを持ち続ける限り1、「プラチナ」と同程度の待遇を永久的に受けられるという仕組み。したがって、「プラチナ」に到達し、SFCを作ることを目的とする。SFC修行と呼ばれることが多い。修行になぞらえて、最終目的のSFCを作成できた時点で解脱と呼んだりもする。

なぜANA

JALにも同様の制度(JGC修行)が存在するが、今回はANAを選んだ。

まず、以前からJALよりANAを使うことが多かった。というよりJAL一度も使ったことが無いと思う。地元の神戸空港ANA便が多く就航している影響もある。それによってANAの株も4単元持っている。

加えて、ANAスターアライアンスという国際的な航空会社の集まりに属しており、SFCを所有しているとそのスターアライアンスの「ゴールドステータス」が紐づくこととなり、スターアライアンスに加盟しているANA以外の他国の航空会社においても同等の優待を受けることができる。JALではなくANAを選んだ理由の一つとして、このスターアライアンスの加盟会社の多さというのがかなり大きい。スターアライアンスにはユナイテッド航空、エア・カナダ、アシアナ航空シンガポール航空等が加盟している。シンガポールでのトランジットで世界どこでも行けるシンガポール航空が加盟しているのが嬉しい2

計画

ANAの「プラチナ」ステータスの獲得には、1月1日から12月31日までの1年間に50,000PPを取得する必要がある。つまり、前年に計画し、季節ごとの各路線の閑散期に予約し、1月から順次実施していくのが一番よいとされている。

しかしながら今回は2023年の9月半ばに5,000PPしかない状態で修行することを思いつき、年内に実施することにした。つまり3ヶ月半で9割のPPを取得しなければならなかった。

もともと予定していたプライベートの旅行や仕事の出張のプレミアムクラスに変更する3だけでは足りないことが自明であった。そのため、無駄に羽田那覇4を往復することが確定した。

基本的には国外線より国内線のほうが1PPあたりの価格(安ければ安いほどよい。PP単価と呼ぶ。)が安いのではあるが、国際線PP2倍キャンペーンが実施されていたため、それを活用し香港やハノイにも行くことにした。

無駄な羽田那覇往復をする以上、必要以上に無駄遣いをするのは避けたいため、表計算ソフトで確認しながら計画を立てた。

運賃の合計は72万円。トータルのPP単価は14.4円。冬場に単純に羽田那覇往復するだけに徹するとPP単価10円きることや、新型コロナの影響でめっちゃ安かった頃はもっと安く実現できたことを考えると、「SFC修行」としてはあまり上手にできなかったといえる。

PP単価が高い要因として、修行のPP単価重視ではなく普通に旅行に行っていることと、会社の経費になる移動でプレミアムクラス使っていることの2点が大きい。

実施

単純に香港とハノイは楽しかった5。アメックスプラチナ解約前にいっぱいラウンジ使って乞食できた。

一番心理的につらかったのが、京都への出張で羽田伊丹便を使ったこと。自宅徒歩圏内の品川駅から新幹線に乗って2時間でそのまま京都に行けるはずなのに、なぜか京急に乗って羽田空港に行き飛行機に乗って伊丹に行ってモノレールや阪急を乗り継いでいく必要がある苦痛。疲れている帰りはより一層のしんどさ。目の前の新幹線ですぐに最速で帰ることができるはずなのに、なぜこんなことをしているんだろうかと思った。

羽田那覇の単純往復は思ったより気持ちは楽だった。2日で4往復、つまり1日2往復を2日連続でやったりした。いつもより早起きして羽田に行き、飛行機にのって、そのあと空港の外どころか保安検査後エリアからすら出ることなく、搭乗口付近で座って仕事するかアニメみるかしているだけでまた次の便という具合。ただちょっと体調崩して航空性中耳炎になったときはしんどかった。上昇または下降時に耳が変な感じになって、耳抜きしてもなかなか治らない。ずっと水の中みたいな違和感があって、音が全然聞こえないし痛かった。翌日耳鼻科に行って処方してもらった薬を飲んだらすぐ楽になった。

羽田那覇を2日で3往復の際、那覇で一泊した。ヤギ料理の店に行った。めっちゃ楽しかった。ヤギ刺しヤギ汁食べたくてディープなお店が好きな人は是非いってみてほしい。

tabelog.com

プラチナ到達

最後の搭乗、12月8日の新千歳羽田便を乗り終えてすぐにプラチナに到達が確認できる、ということではなかった。なぜなら、国際線PP2倍キャンペーンは「ご搭乗月の翌月末ごろにまとめて積算」という規定になっているから6。したがって、11月のハノイに飛んだ分の積算が「12月末ごろ」になってしまう。年末のギリギリにならないと修行が成功しているかどうかわからない(その時点で失敗が判明しても取り返しがつかない)ため、なかなか緊張感があった。

といったように心配していたのも杞憂で、無事12月27日にPPが積算されたようで、プラチナ到達のお知らせメールが届いた。

SFC取得

前述のとおり、「プラチナ」のステータスを取ることは過程の一つで、その後スーパーフライヤーズカードというクレジットカードを作成し、上級会員資格を永続化する必要がある。

年が明けて1月5日に思い出し、クレジットカードの申込書を申請した。Webから直接のクレジットカード作成の申し込みはできず、Webから申し込み書を申請し、自宅に届いた紙のそれに記入し返送する手続きが必要らしい。めんどうくさい。

一週間以上経った1月16日に申込書が届いた。現在ANAダイナースを持っているので、それのSFC版に切り替える専用の申請書が届いた。

記入し、翌日投函した。

既存のカードの切り替えだから審査落ちとかそういうことはないと思う。

届くのが楽しみ。

さいごに

JALJGCまわりの制度が変わって、「修行」が事実上不可になったらしい。ANASFCの制度変更については今の所まだ何もないけど、いつかは変更されてハードル高くなると思う。戦争やパンデミック等が無い限り、ここ十数年は航空機需要が上がり続けると思うし、原油含む物価高は進んでいくと思っているから、修行するなら早くしたほうがいいと思ってこのタイミングでしたけど、はたしてそれらの予測が正しいのかはわからない。

ただ少なくとも、羽田にほど近い場所で独身生活している今が「自分の人生」のなかでベストタイミングなことの蓋然性は高い。京都への移住を検討しているから、尚更いましか無いといった考えだった。ただこれも今後の人生どうなるか確定した未来は存在しないので、絶対そうだとは言えない。

この修行という行為が有益だったのかまたは無意味だったのか、それを今考察するのは難しい。

今はただ、今後永続的なSFCの特典7はもちろん、副次的に得られたアップグレードポイント8やマイルを使ってどんな旅行をしようか考えるのが楽しい。

追記

2月2日にANAダイナース スーパーフライヤーズカードが簡易書留で届いた。

これで完全に解脱。おつかれさま。


  1. 自ら解約したり、破産や個人再生等で強制解約にならない限り。
  2. ANAの加盟する「スターアライアンス」に対し、JALも「スカイチーム」に加盟している。スカイチームスターアライアンスより少ないが19社も加盟している大きな組織で、デルタ航空エールフランス中華航空(台湾)、大韓航空などが加盟しているため、それらを利用する可能性が高いひとにはJALJGC修行のほうが有意義かもしれない。
  3. 普通席に比べ料金の高いプレミアムクラスに乗ると、同じ行程・同じ便でもPPが高くなる。
  4. 夏のバカンスシーズンを除くと、国内線においてPP単価が最安の便を探すと羽田-那覇便となることが多い。JALJGC修行でも同様らしい。
  5. 香港とハノイ - oddmutou’s diary
  6. https://ana-support.my.site.com/jajp/s/article/answers000022642ja
  7. クレカラウンジより豪華なANAスターアライアンス加盟会社のラウンジの利用、保安検査場優先レーンの利用、優先搭乗など。 https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/premium/service/sfc/
  8. 20ポイント貰える。国内線のアップグレード5回分に相当する。 https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/premium/overview/upgrade-point/