先日、石垣島に行ってきた。 石垣牛やジェラートといった定番どころを満喫しながらも、ヤギ(山羊)も食べてきた。
ヤギ肉は石垣島に限らず、南西諸島で広く食べる文化があるらしい。今まで沖縄本島には何度か行ったことがあるが、その時は見逃していたため、今回初めて食べることになった。
ヤギ汁
石垣の市街地にはかなりの数の居酒屋があるが、多くの店のメニューに「ヤギ汁」が存在するらしい。
何も考えずにふらっと入った居酒屋にて、「ヤギが食いたい?刺身は今日は仕入れてないけどヤギ汁ならある」と言われたためとりあえず注文した。「ヤギ刺しに比べてクセが強いけど大丈夫?」と確認されたが、臭い食べ物はわりと好きだから大丈夫と答えた。
かなり強い獣臭さがあった。ヤギは草食のはずなのにこんなにも臭うのか。
まずスープをすすった。臭いけどめちゃくちゃ美味しかった。
中の具も臭いけど美味しかった。正肉っぽい部位もあったけど、内蔵もかなりの量入ってた。だから臭さが強いのかと納得。牛のハチノスにそっくりの切れ端もあり、ヤギにもこういう部位があるのかと感動した。骨の髄もあって、非常に濃厚な味だった。
強烈な獣臭さで酒が進む。というか酒を飲まずにはいられない。
今まで猪、鹿、熊、ウサギ、カンガルーなど様々な動物の料理を食べてきたが、このヤギ汁はかつてないほど強烈だった。別ジャンルで同水準の料理を挙げるなら、強烈なドブ臭さが記憶に残っているコイ(鯉)の刺身(あらい)。
とりあえず臭くて旨い。でも「本なれ」や「くさや」といった発酵食品の臭さよりかは人を選ばないと思う。たぶん。
ヤギ刺し
ヤギ肉の生食、ヤギ刺しも存在する。ヤギ汁に比べて刺身のほうがクセは弱いらしい。臓物込みのヤギ汁よりもきれいに捌いている刺身のほうが臭さが少ないのは想像に難くない。
ヤギ刺しも島内で食べたかったが、ヤギ刺し置いているお店を探す時間がなかったため、買って帰ることにした。調べてみると、市街地と空港のあいだ辺りに無人販売を行っているお店があった。
市街地からレンタカーを走らせ数分で着いた。
日曜日の午前中だったが、開いていた。営業時間の記載がどこにもないからやや不安だった。
なお、建物の隣にはのんびりメェメェと鳴く可愛いヤギたちがいた。美味しく大事に命をいただきます。
中は冷凍庫が並べられていて、自由に取って箱にお金を入れる方式。お釣りはないので千円札を多めに持っていく必要がある。
このときは、「やぎ刺し」「やぎユッケ」「レバ刺し」といったカット済で解凍したらそのまま食べることのできるものの他に、「業務用高級ヤギ刺しサク」も売っていた。
後ろの冷蔵庫には冷凍のヤギ汁もあった。
Googleマップのレビューを見ると、品揃えは定まっていないようで、日によっては睾丸も置いてあるらしい。食べてみたい。
コンビニででかい氷を買って持ってきていた保冷バッグに突っ込んで飛行機で持って帰った。ちなみに普通のヤギ刺しは石垣空港の1階の売店にも置いてあった。
帰宅後、早速解凍し食す。
写真奥が普通のヤギ刺し、手前がヤギのレバー刺し。
どちらも旨い。事前情報通り、ヤギ汁よりかははるかに臭みが少ない。多くの日本人はヤギ刺しなら美味しく食べることができると思う。ただレバ刺しについては他の牛とかのレバーが苦手ならこれも無理かも。
レバ刺し、牛のレバ刺しが好きだった人ならめちゃくちゃ美味しく感じると思う。厚生労働大臣によって禁止されているのが牛と豚のレバ刺しだけだからといって、他の動物のレバーの生食が牛と豚のそれに比べて安全ということは全く無いのだけど(例外として馬は安全性が高いとされている)、とにかく食わずにはいられない。
ちなみに石垣島の市街地には同じ業者さんがやっているヤギ肉の自動販売機がある。こちらにも生肉は普通のヤギ刺しのみ。レバ刺しは需要も供給も少ない様子。
ヤギのレバ刺し、また食べたい。
エコツーリズム
一度話は遠ざかるが、20年近く前から、「エコツーリズム」という概念が存在し、日本国政府も「エコツーリズム推進法」によってそれを推進している。
エコツーリズムとは
ということらしい。
日本において「エコ」という言葉を使うと、第一に自然環境を守ろうみたいなイメージが先行しがちで、エコツーリズムの考え方にそれも含まれるから別に間違いではないのだけれど、エコツーリズムは「自然」のみならず「歴史」「文化」も「地域固有の資源」として守っていくという考え方となっている。
個人的によくある観光名所をただ回るだけの旅行には面白みを感じにくくなっているので、こういった歴史や文化を尊重し学んでいくことに重きを置きたいと思っている。
学ぶと行ってもそんなに堅苦しいものではなく、普段の生活で食べることはないが旅行先では昔から食べられているものを食べるというのも立派な「文化の尊重」になると考えている。
つまり、沖縄含む南西諸島を旅行する多くの人に、そういった観点で是非ヤギ料理を食べてほしいと思う。